シリコンバレーのスタートアップAnyplaceの3年間

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Anyplaceチーム

シリコンバレーに渡り、Anyplaceをローンチしてから約3年が経ちました。サンフランシスコから始まったプロダクトですが、現在15ヶ国47都市に展開しており、米国のみならず、世界中で利用できるプロダクトに成長しました

渡米してからUberの初期投資家のジェイソン・カラカニスから投資を受けるまでの話は、以前にブログで書きましたが、今回はシードラウンドの資金調達から今に至るまで、Anyplaceを成長させてきた過程の話を書きたいと思います。

主に以下の話をまとめました。このような経験が、誰かの役に立てば幸いです。

・ジェイソン・カラカニスのピッチ1000本ノック
・トップティアVCからの質問
・米国投資家からの資金調達
・苦手な英語での営業
・a16z (アンドリーセン・ホロウィッツ)とのミーティング

いつにも増して長いですが、最後までお付き合いいただけたら嬉しいです。

鬼(ジェイソン)の1000本ノック

Credit: 僕がエンジェル投資家ジェイソン・カラカニスから学んだ、3つの教訓

ホテル住まいを可能にするマーケットプレイスというコンセプトで、Anyplaceをローンチしてから半年、ジェイソン・カラカニスから投資を受け、彼が新しくはじめたアクセラレーターに参加することになりました。

彼のアクセラレーターは、Y CombinatorやAngelPadなどの通常のアクセラレーターとは、以下の点で異なっていました。

少数制:各回6–8社程度しか採択しない。
投資額が柔軟:定額投資ではなく、卒業時のトラクションによって投資額が変動する。通常$250–$500k、最大$1M代の投資も可能。
ピッチがメイン:メンタリングよりも資金調達に重きを置かれたプログラム内容。

アクセラレーターは、12週間のプログラムで、毎週彼が4–5人の投資家をトップティアのVCから招待し、参加者は彼らにピッチ、質疑応答をし、最後に各投資家が気に入ったスタートアップトップ3に投票をし、ランク付けされるといった残酷な内容でした。

また、ジェイソンが呼んでくる投資家は、Sequoia、Founders Fund、Greylock、NEA、Bessemer、True Venturesなど、シリコンバレーの名だたるVCの、泣く子も黙るパートナーばかりでした。

私のような、日本で大学を卒業し、まともな職歴もなく、数年前にシリコンバレーに越してきたようなアジアンボーイが普通なら会うことさえもできない面々で、彼らに会える嬉しさの反面、彼らに英語でピッチをして、英語で詰められることを考えると、自分にできるのかなと不安でいっぱいになり、泣く子も黙るどころか、泣かされるところでした。

当時の私は、今よりもずっと英語ができなかったので、このピッチはそれはそれはそれはそれは地獄でした。ピッチでプロダクトを伝えること、また、彼らからのお洒落な言い回しの質問を聴き取るのも一苦労でした。それに、相手が名前を知っているようなパートナーなので、その重圧に物怖じ、必要以上に緊張してしまいました。

当然のように、一回目のピッチは散々で、一票も投票されませんでした。参加していた6社の中で、獲得投票0票だったのは、私の会社だけでした。投票は口頭で、順番に発表されるので、最後の方の投資家、空気読んで1票くらいうちに入れろよと、人生ではじめて人を嫌いになりました。

一発目からトップティアVCの洗礼を受け、その場にいるのが気まずく、ジェイソンが許すなら、会場から走って逃げ出だしていたと思います。

ジェイソンの励ましと大逆転

ジェイソンから走って逃げる許可を得られなかったので、一回目の悔しさを晴らすべく、次回以降からプレゼンの改善、ピッチの改善に取り組みました。ピッチの様子は、ジェイソンのシンジケートの参加者はライブ配信で見れる週もあり、シリコンバレーで私の兄貴分であるKiyoさんがその配信を観ていた回があり、ピッチ酷いねということで、色々とアドバイスを頂きました。

また、ジェイソンもメールで、『Anyplaceは売上があり、今回の参加者の中では、最も資金調達がし易いスタートアップだ。誰かがAnyplaceの事業を批判したら、トラクションのチャートを見せて、黙らせれば良い。』と励ましてくれました。あの残酷な仕組みを作った張本人ですが、ファウンダーにはとても優しいのがジェイソンです。このようなジェイソンのツンデレやKiyoさんからのアドバイスが支えとなり、最後まで諦めずにやってこれたと思います。

ピッチを重ねていく毎に、トップティアVCとは言えど、彼らから聞かれる質問は大体決まってくるということが、次第に分かってきました。

質問時間が限られていることもあり、質問内容は、以下のような、準備すれば答えることは難しくないものでした。

・顧客は誰か
・ディフェシビリティは何か
・大手Aがはじめたらどうするのか
・どのように顧客を獲得するのか
・大手A or 競合Bとは何が違うのか
・競合は誰か or 競合になったら一番こわいのはどこか
・ニッチで終わらないか
などなど。

それさえ分かれば、後はその答えを準備し、磨きをかけ、英語を練習するだけです。本番では、準備したカードを出せば良いだけなので、次第に物怖じしなくなりました。

このように毎週改善と準備を重ねてった結果、最後の週では、投資家から最多票を集めることができ、初回ゼロ票からの最終回最多票獲得という大逆転を起こすことができました。また、米国の投資家相手でも、準備を重ねて英語でのピッチというボトルネックを解消できれば、プロダクト自体は通用するなという自信にも繋がりました。

シリコンバレーの中心に少し近づく

卒業時にジェイソンのイベントLAUNCHでピッチ

ジェイソンの1000本ノックを通じて、米国の投資家へのピッチに物怖じしなくなったという点以外に、このプログラムを通じて、普通だったら会えないようなシリコンバレーの中心人物に出会えたことは大きな収穫でした。

例えば、私が学生時代から憧れていたKevin Rose (Digg創業者、元Google Ventures、現True Venturesパートナー)もピッチの審査員として参加した回があり、彼からは1位の投票を受けました。地獄の1000本ノックの中で、唯一幸せを感じた瞬間でした。その後、Kevin Roseからお茶に誘われ、事業の説明や、提携先のホテルの案内もしました。あのKevin Roseにホテルを案内しているなんて夢見心地で、これだけでもジェイソンから投資を受けて良かったなと思えました。

Kevin Roseは日本が大好きで、よく日本へ旅行に行くというので、前回はどこへ行ったのか尋ねると、金沢の草原に行ったとのことでした。旅行先が中々ハードコアです。広大な草原で、まるでゼルダの伝説(ゲーム)の世界だったと感動しており、感想も中々ハードコアでした。また、彼の子供の名前もゼルダらしく、どこまでもハードコアなKevinでした。

グロース界の神様 Josh Elmanの講義

また、ジェイソンのアクセラレーターでは、地獄ピッチ以外にも、グロースやセールスなど、その分野の第一人者を呼んで、講義をして貰える機会もありました。当時、Greylock (C向けの分野ではシリコンバレートップクラスのVC)のパートナーでTwitterやLinkedInのグロースを担当していた、グロース界の神様Josh Elmanから直接講演を受けることができ、最後は個別にアドバイスを貰えました。

彼のGreylock時代に書いていたグロースに関するブログがとても参考になるので、スタートアップ関係者は必読です。

また、ジェイソンは、年に一回Angel Summitという会をナパ(ワインが有名な避暑地)で開いておりう、そこにはジェイソンと繋がりのあるエンジェル投資家やVCのパートナーが75名程度参加し、各投資家が自分の投資先のファウンダー1名を招待できる、2泊3日のイベントがあります。そこには、ジェイソンのアクセラレータの参加者も毎年招待され、昼は講演などの堅い感じのプログラムが行われますが、夜は数台のテーブルとディーラーが用意され、ポーカーに励みます。

ジェイソンはポーカーのTV番組に出演するほどの大のポーカー好きで、私もそれを機にポーカーを学び、プレイを通じて、参加者と交流を深めました。ちなみに、ジェイソンのテーブルは、とんでもない面子(SequoiaやFounders Fundのパートナー)がとんでもない量のチップでプレイしており、私の財力では到底参加できる空気ではありませんでした。

このように、普通では会えないようなシリコンバレーの中の人との繋がりが生まれたことは、ジェイソンのアクセラレーターに参加した大きな収穫でした。特に、米国外から来て、現地でプロダクトを作る我々のようなスタートアップには、とても良い経験になりました。

1000本ノックの話は、NewsPicksでも丁寧に記事にして頂きました。是非、NewsPicksの有料会員になって読んでみてください。
【実録】日本人起業家が化けた、シリコンバレー流「100本ノック」

アクセラレーター最終日に完全に出来上がっていたジェイソン

米国投資家からの資金調達

ジェイソンのアクセラレーターを卒業後、シードラウンドの資金調達に取り掛かりました。弊社Anyplaceは米国のスタートアップとして、現地の投資家からも資金調達をしたく、ジェイソンや他のVCのパートナーに相談をしました。

ジェイソンからのアドバイスは、『金は金だから、まずは資金を集め易いところから、集められるだけ集めろ。もし、それが仮に日本だったら、日本から資金を集められることを証明することは、米国の投資家に対して信用を高める良い方法だ。資金調達に関しては、信用が重要なので、日本からコミットを集めてから米国の投資家を当たった方がスムーズに話が進むと思う。』というものでした。

また、ジェイソンのアクセラレーターを通じて出会った、Greylockのパートナーでマーケットプレイスの分野を10年近く担当しているSimon Rothmanからは、『マーケットプレイスのモデルは立ち上がるまでに、時間も資金も必要になる。シードの段階であれば、どこから資金が入っていようが、シリコンバレーのVCは気にしない。シリーズA以降で、彼らが気にするのは、金の出どころではなくトラクションだ。そのトラクションを作るために、自分の信用をレバレッジできる場所から、集められるだけ、集めた方が良い。』というものでした。

これらのアドバイスに基づいて、日本から先にコミットを集め、米国の投資家を回ったところ、Instacart、Coinbase、GitLabなどに投資をしているFundersClub。Lime、Checkr、Zenreachなどに投資をしているUpHonest CapitalなどのVCや、Robinhoodの初期投資家であるBora Uygunをはじめ、その他米国エンジェル投資家から投資を受けることができました

日本からのサポート

前述した方法で、米国の投資家からも資金調達を行うことができたのですが、それを支えてくれたのが、日本からの投資を通じたサポートでした。日本人がシリコンバレーでスタートアップを挑戦するにあたって、日本からサポートを受けられるというのはとても心強いです。

もちろん、現地の会社としてやっていく以上、プロダクトも組織も現地に最適化したものを作り上げていく必要があり、そのマインドセットは重要ですが、こと米国で信用も実績もない段階では、日本からのサポートには、とても助けられました

前回のシードラウンドでは、グローバル・ブレイン、East Ventures、iSGS、グリーなどのVCや、mixi笠原さん、本田圭佑さん、フリークアウト本田さん、家入さん、丹羽さんをはじめとする個人投資家に支援して頂きました。

また、私が大学を卒業後、実績も何もない状況で、米国で起業をするといった際に、エンジェルラウンドで投資をしてくださった、Chomp Kiyoさん、シニフィアン朝倉さん、メルカリ進太郎さん、Hey佐藤さん、スマニュ鈴木さん、C Channel森川さん、gumi國光さん、千葉道場千葉さん、そしてEast Venturesの太河さんにも感謝でいっぱいです。

グローバル・ブレインと百合本さんの米国組サポート

サンフランシスコで定期的に行われる百合本さんを囲む会

また、百合本さん及びグローバル・ブレインの日本人起業家米国挑戦組のサポートはとても心強いです。百合本さんとの出会いは、Kiyoさんの紹介で、出張中の百合本さんとサンフランシスコのホテル・ニッコーで朝食をご一緒したことでした。事業内容はもちろん、Anyplaceを通じて実現したいビジョン、また私自身が起業家として、次のAirbnbやUberになるような大きなプロダクトを作りたいといった想いをお話をさせて頂いたところ、その場で、やりましょうと、前回のシードラウンドの中で一番大きな投資を決めて頂いたのを覚えています。

まだ駆け出しで、米国での実績も信用もなかった頃に、あのスピード感で投資の意思決定をしてくださったことはとても印象的でした。また、グローバル・ブレインのビジョンやチームを最優先に考える姿勢など、短い時間でしたが、多くのことを学ばせて頂きました

百合本さんは私の会社のみならず、米国で挑戦する日本人起業家に、多くのサポートを提供してくださっています。投資だけではなく、百合本さん自らが定期的に米国へ足を運び、グローバル・ブレインの海外展開を推し進めている姿勢が、何より我々を鼓舞してくれます。日本の独立系VCで、グローバル・ブレインほどトップ自らが足を動かし、リスクを取り、海外へ領域を広げようと動いているVCは他にないと思います。今では、米国のみならず、韓国、シンガポール、イギリス、インドネシアにも拡大しているとのことです。

百合本さんやグローバル・ブレインにとっても、日本の独立系のファンドが海外に出ていくことは、相当な挑戦だと思います。その挑戦が、我々日本人起業家がシリコンバレーで起業するという挑戦とのシンパシーを感じさせ、お会いする度に、共に頑張りましょうと思わせてくれる存在です。

グローバル・ブレインから投資を受けた、米国挑戦組が大きな事業とリターンを生み出すことで、グローバル・ブレインを、世界で名の知られるVCにできるよう、米国組も日々頑張っています

Co-living(コリビング)の台頭

シードラウンド調達後、Co-living(コリビング)という分野が、米国のみならず、世界中で盛り上がりを見せてきました。

Co-living(コリビング)とは、言うなればCo-working(コワーキングスペース)の賃貸版で、家具付き、光熱費込みの賃貸を短い契約期間(通常1ヶ月から)利用できるといったサービスです。通常、リビングなどが共有スペースになっており、そこで住居者同士が交流できます。

ビジネスモデルは、WeWorkやOYOのようなマネージド・マーケットプレイスのモデルで、物件を長期で安く借り上げ、家具や内装を改善し、付加価値を付けて貸し出すといったものです。

米国では、Bungalow、Common、Starcity、HubHausをはじめ、大小のCo-livingのスタートアップが生まれており、ピーター・ティールのファンドや、セコイヤ、Social CapitalなどのトップティアVCがこの分野に投資をしてきました。

米国のみならず、ヨーロッパではQuarters (累計約300億円調達)、The Collective (累計約400億円調達)、インドではNestAway (累計約100億円調達)、東南アジアではHmlet (セコイアが出資)、また中国では累計約900億円以上集めたDankeというCo-livingのスタートアップが先日上場申請を行いました。

ここで紹介したのほんの一例で、大小のスタートアップが世界各国で台頭してきています。また、OYO RoomsがOYO Life、WeWorkがWeLiveといった名称で、Co-livingの分野に進出しています。

加えて、米国の著名なアーリーステージVCのHomebrewのファウンダーHunter Walkも彼のブログでCo-livingのトレンドについて述べています。

このように、Co-livingが盛り上がる背景として、消費者のニーズの変化が挙げられます。

自分で家具を揃えたり電気・水道・インターネットをセットアップするのが手間だし、長期間契約で縛られたくないといった消費者ニーズの変化が、ミレニアル以降の世代にみられ、従来のように賃貸をセットアップして使うのではなく、サービスとしてより簡単に利用するといった体験が賃貸にも求められるようになってきました。

この流れは、Anyplaceにとって追い風で、以前は長期滞在が可能なホテルのみを掲載していましたが、現在ではCo-livingの物件も掲載しており、それらの物件を通じて、ホテルのように簡単に賃貸を利用できるといった体験をより多くの地域に届けることが可能になりました。

マーケットプレイスの分野では、短期の賃貸はAirbnb、長期の賃貸はZillow/Trulia/Zumper、などがありますが、中長期の賃貸をグローバル規模で束ねているマーケットプレイスはまだ存在していません。我々は、このCo-livingの台頭と消費者ニーズの変化のタイミングを活かし、Anyplaceが世界でそのポジションを取ることができると考えています。

なぜAirbnbは強いのか

我々がその分野でプラットフォーマーとして勝つためには、グローバル規模のネットワーク効果を構築する必要があります。我々の顧客は、ローカルの顧客もいますが、ノマドワーカーや、出張、リロケーションなど、国境をまたいで使われるケースが多いので、米国外にも物件を広げ、どの国や都市へ行っても、フレキシブルな賃貸がAnyplaceで見つかるといった状態にしなければなりません。

どこよりも多くの国で、どこよりも多くの在庫を、Anypaceが取り扱っていることが、ユーザーがAnyplaceを使い続けてくれる理由になり、それが我々のディフェンシビリティになります。

米国VCでネットワーク効果に特化したファンドのNFXは、ネットワーク効果と一重に言っても、その種類は1 4種類あると提唱しています。これに関しては、福家さんが日本語で分かりやすく記事にしてくれています。

彼らの考えに基づくと、Airbnbの方がUberよりもいかにネットワーク効果が強いかがよく分かります。以下、記事の引用です。

Uberは都市ベースで勝負をしているため、たとえば日本市場へ参入した場合、「日本交通」などのローカル企業と競合する形になります。ユーザー体験をベースにするとUberの競合数は数え切れないほど世界中に点在する構図ができあがってしまいます。

一方、Airbnbはグローバル規模でネットワークを広げて初めて成り立つモデルを採用。中小規模の競合他社を持つことはありません。いかに世界中にネットワークを持つかが競合力を測る物差しになるため、一度ネットワーク構築してしまえば後追いされる危険性が減るのです。

ローカルVSグローバルのネットワーク効果に関しては、提供するサービス内容に応じて、どちらが適切か分かれますが、前述した通り、我々の顧客のニーズを考えると、我々はグローバル規模のネットワーク効果を築く必要があります。

苦手な英語での営業

AnyplaceをCo-livingの分野でのAirbnbのようなグローバルなネットワークにすべく、私自ら営業で、様々な国や都市へ訪れ、Co-livingのオペレーターのCEOやマネージャーに営業を行いました。社内には、セールスのチームもいますが、重要なマーケットやオペレーターに対しては、CEO自ら出向くことで、契約成立のスピードや確率が上がります。

営業のアポ取りは様々なことを試しましたが、一番効果的だったのはLinkedInのInMail (有料のダイレクトメッセージ)でした。LinkedInの有料プランを購入すると利用できるようになる便利な機能で、海外ではほとんどの会社のCEOやマネージャークラスに直接リーチできます。

そして、回りくどい言い方はせず、シンプルにプロダクトの内容、ミーティングの目的、箇条書きで数字やトラクションを伝えることを心がけていました。以下、よく送る文章のサンプルです。

Hi XXX,

My name is Steve, Co-founder & CEO of Anyplace. We’re building a marketplace that provides flexible housing to digital nomads and millennials.

I’m wondering if we could get a partnership. We work with co-living companies and your properties are what we really want to work with. Is there any chance we could have a meeting or a quick call sometime next week?

Here are a few notes on our business:
- We introduced XXX+ qualified tenants to our partners last year.
- We have generated over $XXM through our platform in the past 12 months.
- We partner with co-living companies such as Selina, Outsite and Stay Alfred.

FYI: Here’s our TechCrunch article: XXX

I look forward to hearing from you.

このような形でメッセージを送ると、高い確率でアポを取ることができました。

私の英語は、会社設立時に比べ、少しはマシになったとは言え、まだまだ下手なので、最初の方の営業はかなり不安でしたが、これもジェイソンの1000本ノックのピッチ時と同様、ビジネスのミーティングで話すことや聞かれることは大体決まってくるので、事前にスクリプトを準備し、それをひたすら練習。後は、アイスブレイク用に世間話のネタ、もしくは事前に相手の会社をリサーチし、それに関連するネタをいくつか準備していくことで、英語のミーティングでも何とかすることができました。

日本国内は分かりませんが、少なくとも米国やヨーロッパ、東南アジアでの営業は、多少言葉が下手でも、良いプロダクトを持っていき、事前にきちんと準備をして営業に臨めば、相手もちゃんと取引をしてくれます

創業者/CEO自らが営業に行くという気合とコミットを見せることが、相手のウケが結構良く、言語なんかよりも、こういうことの方が大事なんだなと感じました。商談を成立させる上で、言語なんて完璧である必要はないなというのが私の意見です。※もちろん上手いことに越したことはないですが。

上記のように、弊社のセールスチームの頑張りに加え、私自ら足を使って営業した結果、15ヶ国43都市まで掲載物件を広げることができました。

まだまだ、グローバル規模のネットワーク効果を生み出すには物件が必要ですが、今後もこの調子でチームと共にガンガン物件を増やしていき、世界中どこでも使えるプロダクトに成長させていきます

a16zとのミーティング

次第に物件の掲載数も増え、プロダクトのトラクションも徐々についてきたので、次の資金調達を徐々に考える段階になってきました。

Hunter Walkがブログでシードの資金調達の発表は、シードラウンドを閉じた直後にするのではなく、次回の資金調達をはじめたい少し前の段階で行うと、次のラウンドに参加したい投資家に対して、良いアピールになるのでオススメといったアドバイスをしていました。

我々もそのアドバイス通り、クローズ直後ではなく、少し時間を置いて、米国のTechCrunchにシードラウンドの調達について、記事にして貰いました。

TechCrunchへの掲載後、a16z (アンドリーセン・ホロウィッツ)、Lightspeed、Bessemer、CRV、Obvious VenturesなどのトップティアVCのパートナーから事業の話を聞きたいと連絡を貰いました。Hunterのアドバイスさすがです。

中でも、a16zとのミーティングが印象的だったので、少しここで書きたいと思います。

ミーティングをしたのは、a16zのパートナーで、マーケットプレイスを担当しているLi Jinです。a16zのブログやポッドキャストを通じて、次に来るマーケットプレイスは何か、未来の働き方としてパッション・エコノミーなどを提唱しています。

まず印象的だったのが、a16zのパートナークラスでも、自ら営業をしていることでした。彼女からは、LinkedInから丁寧な文章のメッセージを貰い、ミーティングをすることになりました。アソシエイトクラスからの営業はよくある話ですが、パートナーでもちゃんと手を動かしているんだなと感心しました。

また、ミーティング中では、なぜあなたの事業の分野に興味を持っているのかといった、明確なコンテキストやストーリーを持っていることが印象的でした。

Anyplaceの場合、彼女が使っていたメタファーは、『バケーションレンタル(民泊)の分野では、Airbnbというグローバルなプラットフォームがあり、Sonder(先日ユニコーン入りした民泊の物件運用会社)などのオペレーターがいる。一方で、Co-livingの分野では、ここ数年でオペレーターは急増してきたが、Airbnbのようなグローバスなプラットフォームがまだない。もし、Anyplaceがその分野で、世界規模のネットワークを構築できるのであれば、投資を検討したい』といったものでした。

少なくとも私が今まで会ってきたパートナーの中では、ここまで明確にコンテキストを話す人は彼女がはじめてで、彼女が普段から可能性のある事業領域に関して思考を重ねていることが伺えました。

他に印象的だった部分でいうと、デューデリジェンスのプロセスや期間でした。彼女曰く、a16zのデューデリジェンスのプロセスは、3ステップあり、1回目はパートナーとのミーティング(我々の場合彼女とのミーティング)。2回目は、彼女のサポーター役のジェネラル・パートナーとのミーティング。そして最後の3回目は、全パートナーとのミーティングとのことでした。

デューデリジェンス期間は、日本と比較するとかなり短く、シリーズA以降の場合でも、基本的に3–4週間で全て終わり、必要であればもっと短くできる(必要じゃないスタートアップなんているのだろうか)とのことでした。このDDの短さから、シリコンバレーのVCの競争の激しさが伺えました

加えて、こちらから出す質問に対する回答も明確で、例えば『あとどれくらいトラクションを伸ばしたら、次回ラウンドに参加したいか』という質問に対しては、『1、GMVを今の最低2倍伸ばすこと。3倍伸ばせたらベター。2、大手のCo-livingのオペレーターの獲得。この2つを達成できたら検討しやすい。』という答えが即座に返ってきました。期待が明確で、即座に相手が求めるトラクションを出せるあたりは流石でした。

このように、a16zをはじめトップティアのVCからも興味が貰えたことで、この分野の可能性の確信を更に深めることができ、引き続きプロダクトを成長させていくことで、いつかそれらのVCからも資金調達ができるという手応えを感じました。

気付けば、ジェイソンの1000本ノックのおかげで、このようなミーティングにも物怖じしなくなりました。ありがとう、ジェイソン

Anyplaceが今後作りたいもの - Housing as a Service

Anyplaceをローンチしてから今に至るまで、一貫して作りたいプロダクトは、ホテルを予約するように簡単に世界中の賃貸を利用できるようにするものです。

今まで簡単に利用できなかったものが、サービスを利用するような感覚で簡単に利用できるようになるといった流れは、今後も一層加速していくと思います。

最たる例は、ソフトウェアのサービス化(SaaS: Software as a Service)で、今までパッケージ製品として売られていたソフトウェアが、クラウド経由で必要な時に必要な分だけサービスとして利用できるようになりました。

また、昨今では移動のサービス化(MaaS: Mobility as a Service)も話題になっており、従来のように車を所有するなどの移動手段から、必要な時に移動手段が利用できるUberのような選択肢が生まれ、更に今では、あらゆる移動手段からその瞬間で最適な移動手段を定額で利用できるといった形でMaaSのコンセプトが進化しています。

賃貸(ハウジング)の分野に関していうと、従来賃貸はセットアップして利用することが大前提でした。自ら家具や電気・水道・インターネットをセットアップし、引越し時には周辺方法をいちから調べて、どのようなサービス(ジム・クリーニング・食事・買い物など)が利用できるかを自ら確認する必要がありました。また、長期滞在が前提になっており、契約も1–2年以上縛られることが、どの国でも一般的でした。

私は個人的に、引っ越す機会が多かったので、従来の賃貸の形はストレスで仕方なかったです。これだけ、移動もしやすく、どこからでも働ける時代になっても尚、なぜこれほど生活場所を変えることが面倒なのか、我慢できませんでした。

我々は、そのような、自らセットアップをすることを前提とされていた賃貸を、サービスを利用するように、簡単かつ柔軟に使えるようにする、HaaS (Housing as a Service)のような体験をAnyplaceを通じて生み出していきたいです。

Anyplaceを通じて、家具付きで月貸しの賃貸が、ホテル感覚で簡単に利用できることはもちろん、ローカルのサードパーティと連携し、ジム、クリーニング、買い物、食事などの生活に関連したサービスは、その地域で最適なものが全てAnyplace経由で利用可能になることで、新しい場所に引っ越す際に、手間なく生活を始めることができると考えています。

また、生活関連のサービス以外にも、住む場所が変わった際に、セットアップが必要になるものは、人との繋がりです。これに関しては、Anyplaceを通じて、オンライン・オフライン両方のコミュニティを提供することで、どこへ行っても人との繋がりがあり、寂しくない世界を作れると考えています。

なんでもかんでも○○ as a Serviceとくくれば良いといったものではないですが、我々がAnyplaceを通じて実現したい世界を、一言で表すのであれば、まさにハウジングのサービス化です。

今後数年以内に、HaaS (Housing as a Service)の体験をAnyplaceを通じて世界中に広げていくことが、我々の存在意義です。

世界に通用する手応え

Twitter、Squareの創業者ジャック・ドーシーや、Blogger、Twitter、Mediumの創業者エヴァン・ウィリアムズのような起業家に憧れて、大学卒業後すぐにシリコンバレーに渡り、英語も話せず資金もコネも何もないところからスタートしましたが、多くの人に支えられ、Anyplaceは、社員は20人近くまで増え、物件のパートナーも15ヶ国まで広がり、米国を中心に世界中の人に使って貰えるプロダクトに成長しました。

私がサンフランシスコで起業した当初は、日本人が挑戦しているアーリーステージのスタートアップは、兄貴分のChomp Kiyoさん、Ramen Heroの金髪ひろくんくらいでしたが、今では、元カプセルホテル田中、Zypsy玉井、BubblyさっそAutifyちかさん、WeAdmit真田さん、Homma本間さん、Planogy中屋敷くんなど、兄貴の面倒見の良さもあって、挑戦組が徐々に増えてきました

金髪ひろくんはAngelPadや、AutifyちかさんはAlchemistなど、米国の著名アクセラレーターを卒業し、数$Mの資金調達も行い、田中は、マーク・ザッカーバーグやジェフ・ベゾスをはじめとする著名LPが支援していることで有名なファンドVillage Globalのファウンダーが始めたスタートアップ創業者向けのプログラムOn Deckに受かるなど、それぞれ米国の会社として、事業を前進させています。

Anyplaceも、このブログで書いてきたように、米国のスタートアップとして、プロダクトを作っていく中で、世界に通用する手応えを感じています

自分の人生を通じて、日本人でも次のAirbnbやUberのような大きな事業が作れることを証明したいです

そして、何より、Anyplaceを通じて、人々がもっと簡単に生活を変えることのできる世界を実現したい。そのために、これからも、日々最善を尽くしていこうと思います。

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Co-founder & CEO of Anyplace (www.anyplace.com) シリコンバレー/サンフランシスコでAnyplaceという事業を作っています。